2007年 05月 09日 ( 1 )

「緑の番人」は元エンジニア

大企業を早期退職…変化する自然界の営みを伝える。
f0009128_18283527.gif

 
大企業のエンジニアから、大阪の「緑の番人」へ転向した男がいる。箕面ビジターセンターの木山雅博所長、59歳。野鳥や野草を細かく観察し、自然情報をパソコンで府民へ日々伝える。愛鳥週間を前に、箕面の滝から近い「政の茶屋園地」にナチュラリストを訪ね、バードウォッチへ同行した。野鳥が子育てに励む箕面の森は、驚くほど市街地から近く、どこよりも自然が豊かだった。

 
箕面ビジターセンター所長  木山 雅博 
 新緑の若葉が昆虫を呼び集め、幼虫を食べる鳥たちは子育ての季節を迎えていた。まだ大陸へ帰らない「冬鳥」もいる。「留鳥」や「夏鳥」のさえずりに混じり、箕面の山中では小鳥たちの四季の歌が繰り広げられていた。「人間が石になり、じっと待つんです」作業服を着込み、肩から双眼鏡を下げた本山所長は、ビジターセンターを包む木々を見回して耳を傾けた。森にすむ100種類の野鳥を、声で聞き分けられるようになったという。
 目の前の野草薗ではカタクリの花が散り、アヤメを小さくしたヒメシヤガと、日本の野生ラン・エビネがかれんなつぼみをつけている。近くの紅葉を指さし、ナチュラリストは言った。「あの巣箱から、去年は8羽もシジュウカラが巣立ってくれたのに…。ビデオをつけたせいか、今年はまだ来てくれない」キビタキ、オオルリ、サンコウチョウ。「箕面の3鳴鳥」を挙げて、所長は「写真に撮るよりも、スコープで30メートルほど離れて観察する方がいい」と続けた。
 刻々と変わる自然界の営みを、パソコンで大阪府民へ伝える。国定公園内を毎月1回、10キロほど歩き回る。この日も「政ノの茶屋」を巡る3キロの見回りに出かけた。」機械から自然へ180度転換した生活で、「83キロあった体重が、70キロまで減った」と笑う。箕面川のせせらぎに、2羽のカワガラスを見つけた。すかさずスコープをのぞく。紅葉の赤い小さな花や、鳥たちが食べ残したヒマラヤスギの実に出くわすと、シャッターを切った。「エサは豊富にある。野鳥に天敵はカラスとヘビ。それに一部の人間ですかね」f0009128_18285174.gif
 エンジニアとして成功しても、自然へのあこがれは断ち切れなかった。早期退職し、兵庫県の農業研修を受けた。加古川の農家で野菜を作り始めたころ、大阪府から誘われた。即断だった。「まったく違う世界。何もかもが新鮮で、知識欲をくすぐってくれる」ツバメとスズメくらいしか知らなかった野鳥の数は、どんどん増えた。写真家や研究者、野鳥の会のメンバー。人の輪が、波紋のように広がつていった。
 ビジターセンターヘ戻った。遠くのスギのこずえへ焦点を定めておいたスコープが、オオルリの美しい姿をとらえていた。カメラにもにも収めた。自然情報の発信基地へ、ハイカーたちが次々と集まってくる。「月・日・星・ホイホイホイ」と、3つの光を口ずさむサンコウ(三光)チョウ。「焼酎グイー」はセンダイムシクイ。訪問者を相手に木山さんの話は、もう夏鳥の鳴き声へ飛んでいた。
     (編集委員・西村 幹生)

「愛鳥週間」
 10日から「愛鳥週間」が始まります。野鳥はすべての人間にとって共有の財産で、捕まえたり飼ったりすることは法律により固く禁じられています。


木山 雅博(きやま・まさひろ)
1947年(昭和22年)石川県珠洲市出身の59歳。
甲陽学院高から大阪大学工学部を卒業し、川崎重工業(株)で建設機械部門のエンジニアとして31年間勤務。53歳で早期退職し、ナチュラリストヘ転向。平成14年の春から明治の森・箕面国定公園内にある箕面ビジターセンター所長を務める。技術者らしい観察力でバ−ドウォッチした野鳥や、植物などの自然情報を大阪府民に紹介している。神戸市内で夫人と2人暮らし。

     スポーツ報知新聞5月9日より転載。
           (転載については編集局の承諾を得ました。)

箕面の山パトロール隊にご理解いただくとともにいつもご協力くださる木山所長の記事が目に付いたので紹介しました。<広報部>

by sanrokubika | 2007-05-09 18:36 | 雑記帳




パトロール隊の主な活動は、箕面の山のゴミ回収、大型ゴミ・不法投棄の調査、防止策の提案、一般への啓蒙活動、自然環境の保護・保全・育成です。
by sanrokubika
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
箕面の山パトロール隊☆リンク集
検索
ライフログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧