2009.11.3  歳時記 風のたより

    このコラムは、11月4日水曜日、あさ9時30分
   『タッキー816みのおエフエム』 (周波数81.6) 
   モーニング・タッキー「風のたより」で放送されます。
   箕面の山パトロール隊 渓川 清の報告です。


柿紅葉焚くけむり立ち空澄めり  水原秋櫻子

冬を迎える田んぼに、煙が立つ箕面の里山。
雨上がりの里山は、くっきりと稜線が浮かび、まさに秋澄む情景に包まれていました。
澄みきった大気に、山の尾根だけではなく、山肌の樹木も、遠くからでも、その葉っぱの一枚一枚が
はっきりとわかるかのように、澄みわたっていました。

地と水と人をわかちて秋日澄む  飯田蛇笏

秋ならではの、いえ、秋でこそ出会うことのできる透明な風景です。この透明感は、古来、「秋風を色なきものと思う」紀友則、あるいは白い秋、「白秋」と表現されてきました。何も混ざりけのない、透明な、真っ白な空気。
箕面の里山では、出会うことができます。

行く秋や風白うして象あり  北原白秋

秋も深まり、野山の色も少しずつ色付きはじめてはいますが、箕面の楓の紅葉は、立冬を過ぎてからですよね。今楽しめるのは、小枝の先が色を変えつつある薄紅葉でしょうか。
ただ、雑木林では、楓以外の木が、早や黄葉を終え、すでに散りつつあるものもあります。

日を掬ひつつ朴の葉の落ちきたる  上村占魚

才川に沿って渓流を歩いていると、大きな朴の葉っぱが、木漏れ日の中を、ゆっくりゆっくりと落ちてきました。
林の中に射し込む陽の光を掬うように、揺れながら落ちてきます。見渡すと、朴の木の落葉でいっぱいでした。その傍には、色とりどりの、柿の落葉がありました。それぞれの葉っぱの図柄が違い、個性的な落葉です。楓の紅葉を待たずして、雑木紅葉は、散りゆくものも増えてきました。この辺り、ツワの花も咲いており、また栗の実もたくさん落ちています。この時期、山に入っては栗の実を拾い、家に持って帰ると、両親がイガを取り、中から実を取り出してくれました。庭に焚き火が、まだ残っていると、焚き火に入れて焼き栗にしました。
また、家族で栗の皮を剥き、栗ご飯にして食べたものです。この栗、里山では、漆かぶれに使う薬草でもありました。火傷を治す時にも使われたんです。木材は、水分の多い場所に利用されました。腐りにくい材質なんですね。


そよぎあふ草の穂たのし秋の雲  木下夕爾


才ヶ原の土手を見上げると、綿を千切って浮かべたような雲が、澄んだ空に浮かんでいました。
土手には一面のススキの穂。
穂が揺れて、その上の雲が流れて行きます。
やがて、立冬。
秋惜しむ・・・ですね。

色なき風に草の穂揺れる箕面の里山。
皆さまも、ぜひお出かけください。
by sanrokubika | 2009-11-03 21:39 | 風のたより(渓川 清)
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パトロール隊の主な活動は、箕面の山のゴミ回収、大型ゴミ・不法投棄の調査、防止策の提案、一般への啓蒙活動、自然環境の保護・保全・育成です。
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