060416 ハイキング情報 歳時記 よもぎ

このコラムは2006年4月5日、みのおFMタッキー816(周波数FM81.6)で放送されました。毎週水曜日、9時30分頃、FMタッキー「風のたより」の時間です。

箕面の山パトロール隊 渓川 清の報告です。
水温み、桜の蕾が弾けそうに膨らむ里山の春。木々や野草もあおあおとした若葉や芽を一斉に噴き出してます。この時期、野草摘みに出かけられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。里山の春の味覚を堪能できる季節となりました。

風吹いて持つ手にあまる蓬(よもぎ)かな 水原秋櫻子

ヨモギも一斉に芽吹いていますね。
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勝尾寺参道 2006.4.8 撮影:松田

ヨモギ団子などには、まだ柔らかいこの時期の若葉が作りやすくて美味しいですよ。私が小さい頃は餅つきの臼の中に水洗いして湯がいたヨモギをばさっと入れて、お餅を搗いてる間に臼の中のお餅がだんだんとヨモギ色に変わっていく光景がどこでも見られました。ご記憶の方も多いのではないでしょうか。ヨモギ特有の香ばしさが餅米の風味とうまく混ざり合ったヨモギ餅。いまでは年中売られているほどの里山の定番食品ですよね。このヨモギ、古くから知られていて万葉集や百人一首でも詠われています。

かくとだにえやはいぶきのさしも草さしも知らじな燃ゆる思ひを
藤原実方朝臣 百人一首

ヨモギは別名「さしもぐさ」。さしも知らじなと序詞で恋の思いを綴っています。子供の頃、遊んでいてかすり傷や切り傷をおうと年上の子が、このヨモギを揉んで傷口に塗ってくれてました。また、鼻血が出たときも、揉んで鼻に詰めてました。不思議と血が止まり、化膿もしなかったことを、よく覚えています。実は、私は山でかすり傷をおうと今でもヨモギを揉んで傷口に塗っているんです。後々、知ったことですが、各地で民間薬としてヨモギが利用されてきました。お風呂に入れて「ヨモギ湯」。あせもや冷え性、肩凝り、更にはお肌にもいいそうです。ヨモギの葉を煎じて服用することで、かぜ、胃腸の改善、下痢、解熱、湿疹やニキビなどにもいいといわれてきました。
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勝尾寺川 2006.4.16 撮影:松田

お灸といえば、年齢によってはすぐ分かる民間療法ですが、このお灸に使う「もぐさ」。これもヨモギです。「もぐさ」はヨモギの葉や茎の表面をにある「毛」でつくります。実は、印鑑に使う朱肉の材料や矢立の墨つぼも、このヨモギの「毛」で作られていました。
みなさんが毎日通り過ぎてる足元の野草の一つ。里山では、たんなる雑草どころか貴重な生活資材だったんです。

ヨモギ<蓬>:キク科ヨモギ属
別名:餅草、艾(もぐさ、指燃草(さしもぐさ)、繕草(つくろいぐさ)
どこにでも善く萌え出る草→善萌草、善く燃える草→善燃草などが名称の由来と云われています。<M>
by sanrokubika | 2006-04-16 22:20 | 風のたより(渓川 清)
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