箕面の山パトロール隊:風のたより(渓川 清)
2010-03-23T19:53:34+09:00
sanrokubika
パトロール隊の主な活動は、箕面の山のゴミ回収、大型ゴミ・不法投棄の調査、防止策の提案、一般への啓蒙活動、自然環境の保護・保全・育成です。
Excite Blog
2010.3.21 風のたより 歳時記
http://sanrokubik.exblog.jp/13185368/
2010-03-23T19:44:00+09:00
2010-03-23T19:53:34+09:00
2010-03-23T19:44:57+09:00
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風のたより(渓川 清)
『タッキー816みのおエフエム』 (周波数81.6)
モーニング・タッキー「風のたより」で放送されます。
箕面の山パトロール隊 渓川 清の報告です。
黄砂に翳むまち 西江寺裏山から
霾や太古の如く人ゆき〃 杜明
休日の朝、箕面の山は黄砂に覆われました。
外に出ると、どんよりと曇っているかのようでした。
これは霧か、それとも春霞か・・・
滝道の入り口で出会った方が黄砂ですと言っておられました。遥か大陸の奥地で巻き起こった砂嵐が、陸を超え、海を渡って、この箕面の地まで到達したんですね。壮大ですね。
古来、黄砂は、その名も霾と呼ばれて来ました。つちふる中、この日も、人々は箕面の森を行き来してました。
この黄砂も、次第に収まり、徐々に陽が射してきた山道です。吹く風も弱まり、長閑な春の一日の訪れです。
風光りすなはちもののみな光る 鷹羽狩行
さて、桜がもう咲いてますね。
西江寺の染井吉野の花が枝先でほころんでいました。
粟生外院でも、染井吉野が枝先で開いています。
才ヶ原林道の山桜も、すでに開花しているとか・・・
例年と比べれば、山桜は、およそ一週間ほど、染井吉野は、それよりもっと早いのではないでしょうか。「新古今集」では、桜が、開花を「待つ花」、「初桜花」、「尋ねる花」と、観る楽しみが三つあることを教えてくれます。
ソメイヨシノ
山はまだいろの浅葱や初ざくら 森澄雄
あまりに早く咲きすぎて、春の疾風に、早々に散ってしまわないことを願うばかりです。里山を歩くと、春の色とりどりとなり、その香りに包まれています。
ジンチョウゲ、サンシュユ、ハナズオウ、キズイセン、シュンラン、ショウジョウバカマ、ミツマタなどなど。西江寺の山道では、コバノミツバツツジも開花してます。沿道には、スミレも咲いてますね。可憐な花をつけるスミレですが、かつては山菜の一つでもありました。
桜咲きはじめた箕面の里山。
皆さまも、ぜひお出かけください。
ジンチョウゲ
ジンチョウゲ
サンシュユ
シュンランショウジョウバカマ
レンギョウ
スミレ
コバノミツバツツジ
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2010.3.15 風のたより 歳時記
http://sanrokubik.exblog.jp/13176010/
2010-03-16T23:59:00+09:00
2010-03-22T20:42:04+09:00
2010-03-22T20:37:32+09:00
sanrokubika
風のたより(渓川 清)
『タッキー816みのおエフエム』 (周波数81.6)
モーニング・タッキー「風のたより」で放送されます。
箕面の山パトロール隊 渓川 清の報告です。
滝道・箕面川
真夜中の春一番と思ひけり 佐藤葭延
日曜の夜半には、激しい雨に見舞われた箕面の里山。
横殴りの大粒の雨でした。草木は、この雨で、冬場の枯葉を落とし、吹き出した芽が、水を得て、ますます活き活きとしてきたのではないかと思います。人には憂鬱な雨かもしれませんが、山の生き物たちには、きっと望んでいた春の雨だったのではないでしょうか。
滝道
降り出して上がりも知らず春の雨 藤岡健夫
この時期、お天気は急変します。陽が射していたかと思うと、急に風が吹きはじめ、次第に強くなり、嵐のように吹き荒れます。春一番とは、海で漁をしていた漁師が、もっとも恐れる、突然の春の嵐の事でもあったようです。山の姿は、春の強い風が吹く度に、枯葉を落とし、一雨ごとに、より濃い緑に変わっていきます。気温も、一雨ごとに少しずつ上がり、野山の蕾も、眠りから醒めていくのですね。麓のサンシュユに加え、山道でも、このところ咲いていたツバキやアセビ、ミツマタのほかに、草花の数が増えてきました。ダンコウバイも花をつけました。ウグイスカグラも、山道を飾っています。クロモジも、より大きく膨らみました。
滝道
ま〃事の飯もおさいも土筆かな 星野立子
ツクシもようやく顔を出しましたね。ツクシを摘む人の姿も見かけるようになりました。ツクシとヨモギ・・・この時期、里山の山菜でもありました。このツクシ、腎臓の病や毒消しなどに薬草としても使われていたようです。また、漆かぶれなどのお肌の荒れにも、利用されていました。
投げ出して脚なつかしやつくしんぼ 森川貴美子
季節の変わり目、それを知らせる箕面の里山。
皆さまも、ぜひお出かけ下さい。
滝道
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2010.3.8 歳時記 風のたより 啓蟄
http://sanrokubik.exblog.jp/13055152/
2010-03-09T21:36:55+09:00
2010-03-09T21:36:56+09:00
2010-03-09T21:36:56+09:00
sanrokubika
風のたより(渓川 清)
『タッキー816みのおエフエム』 (周波数81.6)
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箕面の山パトロール隊 渓川 清の報告です。
啓蟄の林静かに動きをり 津川通泰
箕面の里山は、啓蟄を迎えました。気温は、少しずつ上がりはじめてはいますが、それほど大きく変動はしていません。でも、暖かさを感じますよね。風が、春の風に変わったんですね。思わず襟をたてるような冷たい風ではなくなりました。山道では、汗ばむことも多くなりました。生き物たちも、この気配に誘われて、土の上に顔を出す季節となりましたね。もう、あと幾日もせずに、蝶が飛び交う野の風景に変わることでしょう。
三椏の花頷けり黄を溜めて 藤田章子
瀧道のミツマタは、ようやく花を開きはじめました。離れて見ると、白い花のように見えます。少し近づくと、蜂の巣に似ている気がしないでもありません。もっと、近づくと、白い小さな花の集まりの先っぽに鮮やかな黄色が、こぼれ落ちるように、顔をのぞかせています。それぞれの枝は、その名の通り、三つづつに分かれながら伸びています。不思議ですね。
このミツマタ、お札や和紙の原料として使われてきましたが、それ以外にも、目の病に使う薬草でもありました。熱さましにも、使われたようです。
山茱萸の花完結のなく続く 後藤夜半
春の訪れを、早早と告げてくれた野の花が道沿いにたくさん拡がった今、庭木の花も咲きはじめました。サンシュユの花で、黄色に染まった枝を、里の道や、垣根越しに見ることができます。白い花でいっぱいのユキヤナギの枝も、風に揺れています。梅の花も、白梅、紅梅と出揃いました。そして、山桜の芽も、大きく膨らんでいます。土の下の虫たちだけでなく、草木も、芽吹きの季節となりました。
山なみの濃くまた淡く木の芽時 鎌田重光
花開き、草木の芽吹く箕面の里山。
皆さまも、ぜひお出かけ下さい。
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2010.2.27 歳時記 風のたより
http://sanrokubik.exblog.jp/12992910/
2010-03-02T22:53:00+09:00
2010-03-09T21:41:07+09:00
2010-03-02T22:53:44+09:00
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風のたより(渓川 清)
『タッキー816みのおエフエム』 (周波数81.6)
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箕面の山パトロール隊 渓川 清の報告です。
三月の田んぼの好きな雀かな 福田淳子
箕面の里山は、三月を迎えました。
少し冷たい風が、時折吹きぬけますが、山道では、厚手のマフラーや手袋を外すほどの気候になっています。ついこの間までの冷たさが、うそのような週末でした。里山は春そのものが、今あることを知らせてくれています。野の道を行けば、春の花が、道沿いにいっぱいです。
オオイヌノフグリ、ナズナ、ハハコグサ、タネツケバナ、
タンポポ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザなどなど。
スミレの花も見つけました。
一寸のすみれ揺らして風過ぐる 杉山倭文
登山口から見る山肌は、落葉樹の芽が吹き出し、いよいよ赤っぽく見えます。尾根を登りきったところで腰をおろすと、どのネジキの枝も赤く色づいています。落葉樹の群生が、遠くから見る山肌を、そのような色に見せているんですね。
人の子もはじめくれなゐ楓の芽 清水里美
勝尾寺参道中腹のうつぎ池は、枝が色付きはじめた落葉樹と常緑の木々に囲まれ、この日も穏やかに、水を湛えていました。暫し吹く風に、さざ波が拡がります。その水面を、カルガモが三羽、のんびりと泳いでいきました。まだ、番にはなってないようです。のどかなひと時です。
山茱萸と知りてはなるる月の中 加藤楸邨
粟生間谷の生垣では、山茱萸が満開になっていました。たくさんの枝分かれのそれぞれに、黄色い花がいくつも咲いています。周りの緑と対照に、ひと際明るく見えます。
この山茱萸、古くは、中国から朝鮮半島を経て渡来した薬草です。
滋養強壮に使われてきました。
野の花に、春の訪れを感じる箕面の里山。
皆さまも、是非、お出かけ下さい。
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2010.2.21 風のたより 歳時記
http://sanrokubik.exblog.jp/12930639/
2010-02-23T21:38:00+09:00
2010-03-02T22:54:43+09:00
2010-02-23T21:38:22+09:00
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風のたより(渓川 清)
『タッキー816みのおエフエム』 (周波数81.6)
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二月の日入れて明るき雑木山 長谷川二三
週末は、好天に恵まれた箕面の里山。
冷たい風が微風となり、頬を優しく撫でる時、マフラーや手袋を、思わず外すほどの暖かさに変わりました。里の道には、早春の陽射しが、こぼれています。
春されば木末隠りてうぐひすそ
鳴きて去ぬなる 梅が下枝に
少典山氏若麻呂 万葉集
今年初めて、うぐいすの歌声を聞きました。
いつの間に上手くなったんでしょう。
はっきりと「ほーほけきょ」と鳴いています。
ついこの間までは、藪の中から、しきりに「ちゃっ、ちゃっ」と笹鳴きしか聞こえてこなかったのに・・・。万葉の時代から、梅といえば、うぐいすの声なんですね。冬の終わりをロウバイと黄梅の花が告げ、そして、丁度節分には、万作と梅の花が季節がかわったことを知らせてくれます。同時にうぐいすの声も春を告げてくれます。
春の野に鳴くやうぐひすなつけむと
我が家の園に 梅が花咲く
算師志氏大道 万葉集
麓から山肌を見ると、山が少し赤っぽくなってきていることに気づきます。落葉樹の枝が、薄赤く色を帯びてきているのですね。落葉の森あってこその春の色です。
野の道には、母子草が咲きはじめ、オオイヌノフグリやハコベの花も、ずいぶんと数を増してきました。田んぼのあぜ道では、タネツケバナもたくさん咲いています。
このタネツケバナ、稲の籾を水につけて田んぼの仕度をはじめる頃に白い花を開くことから、そう呼ばれているようです。
雨水も過ぎました。
一雨ごとに暖かくなっていくのでしょうか。
うぐいすが歌いはじめた箕面の里山。
皆さまも、ぜひお出かけ下さい。
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2010.2.13 歳時記 風のたより
http://sanrokubik.exblog.jp/12873602/
2010-02-16T23:23:00+09:00
2010-03-09T21:41:53+09:00
2010-02-16T23:23:01+09:00
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風のたより(渓川 清)
『タッキー816みのおエフエム』 (周波数81.6)
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箕面の山パトロール隊 渓川 清の報告です。
ひもろぎや旧正月のかけ大根 吉岡禅寺洞
旧正月を迎えた箕面の里山。
この国の、多くの地域では、少し前までは、お正月といえば旧正月でした。梅が開き、万作が咲く、それは、暦がなくとも、農村では、春の兆し、そのものでした。
色よりも香こそあはれと思ほゆれ
誰が袖ふれし宿の梅ぞも よみ人しらず
梅の花は、節分を境に早すぎることもなく、遅すぎることもなく、見事にその時期に花を開きます。梅の花は、古来、春を告げる「春告草」、その年に初めて花を開く「初花草」、春の風を待つ「風待草」或いは「風見草」などとも呼ばれてきました。季節をわける「節分」を標す花なのですね。
木より木に通へる風の春浅き 臼井亜浪
山道には、まだ冷たい風が、残っています。
でも、先週とは違う風を感じました。
気温は、同じくらいでしたが、手がかじかむような冷たさではありません。冬の風から、早春の風に変わったのでしょうか。その山道、足元をよく見ると、春のはじめの色が散らばっていますよ。田んぼの畦道には、なずなの白い花がいくつもありました。たんぽぽの花も、その数がずいぶんと増えてきましたね。日当たりのいい草むらでは、オオイヌノフグリが、青いビーズを散りばめたように咲いています。その傍では、小さな小さなハコベが、真っ白い花を開いていました。
このハコベ、古くより「はこべ塩」といって、歯磨きとして使われてきたんです。また、胃腸の調子を整える薬草でもあったんです。
早春の見えぬもの降る雑木山 山田みづえ
足元にも春が散らばりはじめた箕面の里山。
皆さまも、ぜひお出かけ下さい。
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2010.2.7 歳時記 風のたより
http://sanrokubik.exblog.jp/12820116/
2010-02-10T00:18:00+09:00
2010-02-16T23:25:16+09:00
2010-02-10T00:18:23+09:00
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風のたより(渓川 清)
『タッキー816みのおエフエム』 (周波数81.6)
モーニング・タッキー「風のたより」で放送されます。
箕面の山パトロール隊 渓川 清の報告です。
正月立ち春の来たらばかくしこそ梅を招きつつ楽しき終へめ
大弐紀卿万葉集
節分を過ぎ、梅の花がちらほらと咲きはじめた箕面の里山。
「節分」とはよくできたものです。ちゃんと「梅」の花が開くのです。たとえば、「梅」の開花を境に、冬の節と春の節が分かれているのですね。もっとも、今年の旧暦一月一日は、例年より遅く、二月十四日頃となります。
白梅のきのふ一輪けふ一輪 山田貴美子
梅は、万葉集にも、数多く詠われているくらいに、
古い時代、中国から渡来したといわれています。
草木枯れ果てた、春浅き寒さの中で、
緑の葉も出さぬうちに、高貴な、真っ白な、ほのかな香りを漂わせる花だけが、ある日、枝先にあることの驚きとよろこびが、たくさんの和歌として残されて来たんでしょうね。その枝には、まだいくつもの、まんまるい珠の蕾が、その花を取り囲んでいます。
日に風にまんさく花を解きにけり 伊能華子
その梅の花の傍らでは、これもまた、冬と春との節を分ける、マンサクの花が、黄色い短冊のような花をいくつか開いていました。「春先ず咲く」から「まんさく」と・・・まさしく、春を告げる花です。
このマンサク、里山では、皮膚の病に使われる薬草でもありました。マンサクの樹皮は、よくしなり、強いので、薪を縛る紐としても使われていたんです。また、地域によっては、萱ぶき家屋の、柱や梁をマンサクの樹皮で縛り、家屋の造りを支えていました。
まだ、冷たい日が続きますが、今がその寒さの極、
早春の風も、一歩づつ、里山に近づいてくることでしょう。
春浅き中にも、その兆しを感じる箕面の里山。
皆さまも、ぜひお出かけ下さい。
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2010.1.30 風のたより 歳時記
http://sanrokubik.exblog.jp/12770199/
2010-02-02T22:55:00+09:00
2010-02-02T22:56:49+09:00
2010-02-02T22:55:18+09:00
sanrokubika
風のたより(渓川 清)
このコラムは、2月3日水曜日、あさ9時30分
『タッキー816みのおエフエム』 (周波数81.6)
モーニング・タッキー「風のたより」で放送されます。
箕面の山パトロール隊 渓川 清の報告です。
冬椿落ちたる音もなかりけり 鷲谷七菜子
冬の深みのその奥にある箕面の里山。
瀧の裏道には、藪椿の花が、ぽとりぽとりと落ちていました。枝先に咲く藪椿の花は、あらたな季節が間近にあることを、道行く人に、静かに告げています。頭上には、赤い藪椿の花、そして足元には赤く熟した青木の実・・・冬という季節が、今変わろうとしているのですね。
道の辺のネズミモチの実も、小さな葡萄の房ようにたくさん実っています。このネズミモチの実、古くは、身体に精をつける薬草として使われていたんです。
早梅や日はありながら風の中 原石鼎
梅も咲きはじめましたね。勝尾寺川でも、いっぱいにふくらんだ梅の蕾が、ぽん、ぽんと、弾けるように、いくつかの花を開いていました。春は、目の前、もう、直ぐそこですよ、とでも言いたげに・・・。
笹鳴きに近づきすぎたかもしれず 久保康輔
こもれびの森の雑木林の中、うぐいすの笹鳴きが聞こえていました。藪から出たうぐいすは、地面すれすれに飛び去り、すばやく姿を消しました。目をこらしても、その姿を、もう一度捉えることはできません。きっと、当のうぐいすは、藪の中から、こちらの様子をじっと窺がっているにちがいありませんね。
才が原池の水面は、冴えわたる林の中に、
澄みきった水が、ただ静かに拡がっています。
俳句には、季節の中で、冬だけ「惜しむ」という季語がありません。でも、才が原池を取り囲む、しんとした冬の森に佇むと、この冬が去りゆくことが惜しまれてきました。
うらぶれし冬にも心遺すなり 相馬遷子
箕面の山は、立春を迎えようとしています。
冬の余韻に、春の兆す箕面の里山。
皆さまも、ぜひお出かけ下さい。
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2010.1.23 風のたより 歳時記
http://sanrokubik.exblog.jp/12729658/
2010-01-26T23:31:00+09:00
2010-01-26T23:33:41+09:00
2010-01-26T23:31:01+09:00
sanrokubika
風のたより(渓川 清)
『タッキー816みのおエフエム』 (周波数81.6)
モーニング・タッキー「風のたより」で放送されます。
箕面の山パトロール隊 渓川 清の報告です。
落葉踏む軽き音踏む山日和 小原正子
冬の冴えた空気に、透明な清らかさを感じる箕面の里山。
勝尾寺参道に降り積もった落ち葉が、踏み行く脚に、やわらかく応えてくれます。そして、山道の途中では、森に拡がる冷たさが、ほてった体を、やさしく包んでくれます。冬の山ならではの、心地よい冷たさです。
山裾の没日あつめし冬苺 川上佐恵子
道の辺に、冬苺がありました。
古くより、食用として、精をつけ、老いを防ぐと云われています。小さなガラス玉を、いくつか寄せ集めたようにも見えます。古参道沿いの冬苺・・・
採る人もなく、色の褪せた冬の林に、
ひと際紅く佇んでいます。
寒林を貫く川のひとり言 原天明
冬深む林は、なぜか、どこまでも静かです。
ゆるやかに流れる風の音さえ聞こえるようです。
まだ向こうにある川の瀬音が、冬枯れの隙間を縫って聞こえてきました。寒が極まるこの時期。森は、じっと息をひそめているのでしょうか。そういえば、「山眠る」と言いますよね。
山眠る湖面に影をおとしゐて 関根朝子
うつぎ池の湖面は、じっと動かぬ山肌を、ただ鏡のように映していました。
うつぎ谷では、その静けさの中で、
赤く熟したアオキの実が枝先に揺れています。
谷山尾根の開けた一画、冬の陽が枯れ木の間から射し込んでいます。その山道で、ふと足を止めました。甘ったるい香りが漂っています。足元を探すと、タカノツメの枯葉が、いくつも落ちていました。うこぎ科のタカノツメです。鷹の爪に、冬芽が似ているからとも、また葉っぱの形が似ているからとも言われています。葉っぱが枯れると、なぜかカラメルのような香りが山道に漂います。
日脚伸ぶ桜の肌に艶の出て 加村維麻
冬深み、小枝が赤い色を帯びてきた箕面の里山。
皆さまも、ぜひお出かけ下さい。
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2010.1.17 風のたより 歳時記 寒の内
http://sanrokubik.exblog.jp/12684612/
2010-01-18T19:44:00+09:00
2010-01-18T19:46:29+09:00
2010-01-18T19:44:14+09:00
sanrokubika
風のたより(渓川 清)
『タッキー816みのおエフエム』 (周波数81.6)
モーニング・タッキー「風のたより」で放送されます。
箕面の山パトロール隊 渓川 清の報告です。
△大けやき 落合谷
風花や美しき夜に入らむとす 星野立子
冷えきった夜間には、雪も散らつく箕面の里山。暗闇に浮かぶ街灯の明かりに、白い雪が舞っています。翌朝の山道には、うっすらとした雪が、落ち葉の絨毯の上に拡がり、この道を、まだ誰も歩いてはいないことを教えてくれます。
しんしんと寒さが楽しみ歩みゆく 星野立子
勝尾寺参道の道の辺の池は、陽が射す頃になっても、一面に氷が張りつめています。
△つらら 瀧道
滝道でも、大きなつららを見ることができました。登りはじめで、ちょうど少しばかり息が切れる辺り、頬を撫でる冷たい風が、とても心地よく感じます。
風が止まり、日が淀み、そして鳥の声さえ途切れるひと時、箕面の山は安らかな静寂に包まれていました。
森といふ大きしじまよ寒の内 上田五千石
陽が高く上がりはじめ、枯れ木の間から木漏れ日が山道に射しこむ頃、ようやく凍てついた山の空気も溶けはじめるようです。
葉を落とした落合谷の大欅は、その枝を空いっぱいに広げていました。その空には、ゆっくりと重たげな冬の雲が漂っています。
一月や枯れ木の肌の日のぬくみ 小島政二郎
山道沿いに、あざやかな朱色の木の実が、大きな木の上まで絡まっていました。誰かが、飾りつけでもしたかのように、たくさんの実でいっぱいです。
△ツルウメモドキ
ニシキギ科のツルウメモドキでした。活花にも使われるツルウメモドキ・・・大きな木を、その実で埋め尽くすほどの野生のツルウメモドキには、出会えることが、なかなかできなくなってしまいましたね。木に巻きついた蔓だからと、ばっさり切られてしまわないことを祈るばかりです。
大寒の空の青さにつまづいて 鈴木はるを
冷たき微風が心地よい箕面の里山。
皆さまも、ぜひお出かけ下さい。
△ツルウメモドキ
△アオキ 落合谷
△シロダモ 落合谷]]>
2010.1.11 風のたより 歳時記 臘梅
http://sanrokubik.exblog.jp/12652334/
2010-01-12T21:35:00+09:00
2010-01-18T19:56:04+09:00
2010-01-12T21:35:05+09:00
sanrokubika
風のたより(渓川 清)
『タッキー816みのおエフエム』 (周波数81.6)
モーニング・タッキー「風のたより」で放送されます。
箕面の山パトロール隊 渓川 清の報告です。
△勝尾寺参道
冬の水一枝の影も欺かず 中村草田男
冬の静けさが拡がる箕面の里山。
大気の動きも安定し、冷たい風も弱まった週末でした。
その静寂に、じっと水をたたえる里山の池は、小波をたてることもなく、勝尾寺参道の林を、水面に映していました。
つくばねに雪積む見れば榛の木の
梢寒けし花は咲けども 長塚節
鏡のような池に映っているのは、ハンノキです。
この時期、ハンノキは、たくさんの花をつけ、冬の空に揺れています。
△ハンノキ 勝尾寺参道
このハンノキ、根に瘤ができ、肥えた土壌を作るため、里山では肥料木として利用されてきました。また、樹皮からは、渋が大量に採れ、染物の染料としても使われてきたんです。京都の水尾女の「赤前垂れ」は、このハンノキ染めです。幹は、太鼓の胴として使われました。
臘梅の香の一歩ずつありそめし 稲畑汀子
粟生間谷の野の道は、レンギョウやマンサクが、花を開きはじめています。その道を歩きながら、足が止まりました。そこには、満開のロウバイがありました。旧暦では、まだ十二月。中国では、十二月を臘月と呼んでいました。新春の節分前に咲く梅。すなはち、臘梅です。厚い花びらですが、しかし、陽射しが、花びらを通り抜けるように透けています。
△ロウバイ 勝尾寺川
春間近を知らせているかのようです。粟生外院の山道でも、満開のロウバイとともに、たくさんのセンダンの実が、その枝先で、揺れていました。
谷水を撒きてしづむるとんどかな 芝不器男
勝尾寺川の川原では、とんど焼きが行われていました。この火で焼いたお餅を食べると無病息災となると言われていますね。体を、この火で温めると若返り、災難を逃れることができるとも。また、書初めを、この火にくべて、火が高く舞い上がると、上達するそうですよ。
ロウバイが春間近を告げる箕面の里山。
皆さまも、ぜひお出かけください。
△ロウバイ 粟生外院
△梅 勝尾寺川
△センダン 粟生外院]]>
2010.1.3 風のたより 歳時記 七草
http://sanrokubik.exblog.jp/12612636/
2010-01-05T19:38:00+09:00
2010-01-06T19:49:34+09:00
2010-01-05T19:38:58+09:00
sanrokubika
風のたより(渓川 清)
『タッキー816みのおエフエム』 (周波数81.6)
モーニング・タッキー「風のたより」で放送されます。
箕面の山パトロール隊 渓川 清の報告です。
△レンギョウ 勝尾寺川
枯萱に年かはりたる日がさせり 清崎敏郎
年あらたまり、あらたな陽が射す箕面の里山。千代の春は、北風も弱まり、穏やかにはじまりました。勝尾寺川の萱は、すっかりと枯れ果てていますが、そこには、初春(はつはる)のやわらかな陽射しがありました。
連翹の花もほころびはじめ、枯れ草の色に相対して、黄色い花が、ひときわ浮かび上がってみえます。
木の葉を落とした木々の枝先には、シロハラやジョウビタキを、はっきりと見ることができました。
とそ酌むもわらぢながらの夜明けかな 一茶
里山も然りですが、御屠蘇で一年を健やかに過ごせるよう、年の始めを迎える風習は、平安時代まで宮中の儀式であったようです。
薬草を調合した御屠蘇は、中国より伝来したものといわれます。御屠蘇に調合される肉桂は口の荒れを治し、山椒は胃を丈夫にし、桔梗は喉を楽にし、ぼうふうは熱さましの効用があるとされています。
健やかなれと願う調合が、きちんとなされているのですね。
△田んぼの若菜 粟生間谷
俎に薺のあとの匂ひかな 内藤鳴雪
さて、七日は七草です。粟生間谷の辺りでも、野道や田んぼに、若菜がいくつも芽吹いています。百人一首にも次の歌があります。
君がため春の野に出て若菜摘む
わが衣手に雪は降りつつ 光孝天皇
古くより、私たちの暮らしの中に、野原の若菜を食し、これもまた、健やかであることを祈る風習が続いているんですね。
因みに、春の七草も五七調で詠えます。
せり、なずな、おぎょう、はこべら、ほとけのざ、
すずな、すずしろ、これぞ七草
箕面の里山、よく探せば、七草は、すべて足元にありますよ。
風あれど日のぬくければ御形摘む 文挾夫佐恵
連翹が咲きはじめた箕面の里山。
皆さまも、ぜひお出かけください。]]>
2009.12.20 風のたより 歳時記 冬至
http://sanrokubik.exblog.jp/12535946/
2009-12-22T23:41:00+09:00
2010-01-05T20:44:10+09:00
2009-12-22T23:41:19+09:00
sanrokubika
風のたより(渓川 清)
『タッキー816みのおエフエム』 (周波数81.6)
モーニング・タッキー「風のたより」で放送されます。
箕面の山パトロール隊 渓川 清の報告です。
こがらしの樫をとらえしひびきかな 大野林火
木枯らしが吹き、一挙に寒さが増してきた箕面の里山。
ついこの間とは、打って変わり、冬そのものを実感する週末となりました。木枯らしは、本来、冬のはじめに吹きはじめ、山を飾る黄葉を、吹き飛ばしてしまう風ですが、十二月半ばに入り、漸く、木枯らしと呼べるような風がやってきた感じです。山を包む大気は、冬の冷たさを運んで来ましたが、この北風、淀んでいた空気も一気に運び去ってくれました。
風さえて今朝よりも又山近し 暁台
冷たい風、すなわち、澄みきった透明な風が通り抜けた山の稜線は、冬の薄水色の空にくっきりと浮かび上がっています。山肌の木々も、その一本一本を、見通すことができて、山が、いつもよりも近付いたように見えます。
冬めきの風、冬めいた山道。
箕面の里山は、冬至を迎えました。
冬至は、だんだんと日が長くなる起点であることから、「一陽来復」と言われます。
里山では、冬至粥、冬至南瓜などを炊き、
本格的な寒さへの備えをはじめました。
△ユズ 粟生外院
また、無病息災を祈り、この日は、柚子湯につかります。柚子湯は、古くより、体をぽかぽか温める効果が知られており、冷え、肩こり、腰の痛み、身体の疲れなどに使われてきました。
食用として使った後の柚子を、鍋で煮出して、お風呂に入れたりもしていたようです。風邪をひいた時は、柚子を絞り、蜂蜜を加えたものを服用していました。ひび、あかぎれ、しもやけなどには、直接肌に塗っていました。
柚子は、古く飛鳥時代に、朝鮮半島を経て、
もたらされましたが、私達の暮らしに、しっかりと根付いていますね。
柚子湯出て枯れ山の日に歩きけり 石原舟月
風さえて、山近き箕面の里山。
皆さまも、ぜひお出かけ下さい。]]>
2009.12.12 風のたより 歳時記 金黒羽白
http://sanrokubik.exblog.jp/12497221/
2009-12-13T00:31:00+09:00
2009-12-15T22:43:17+09:00
2009-12-15T22:39:18+09:00
sanrokubika
風のたより(渓川 清)
『タッキー816みのおエフエム』 (周波数81.6)
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箕面の山パトロール隊 渓川 清の報告です。
△大宮寺の森
降りいでて落ち葉をさそふ山の雨 西島麦南
週末は、箕面の里山を、雨が湿らせました。それでも、吹く風は冬の風ではなく、黄葉を吹き飛ばしてしまうこともありませんでした。十二月半ばの箕面の山・・・まだ黄葉が山肌を飾っています。
この冬、里山には、降る雨やさしく、吹く風やわらかです。
落ち葉は、一ひら一ひらと落ちています。吹雪のように舞う落ち葉は、やはり木枯らしのなせるわざでしょうね。降り積もった落ち葉で、やわらかくなった山道、これからは、より深々とした絨毯に変わっていきます。
そして、林から見上げる空も、拡がっていきます。
△コナラ 粟生間谷
時雨の雨間無くな降りそ紅に
にほへる山の散らまく惜しも 万葉集 詠み人知らず
少し雨模様の中、大宮寺のクロガネモチの巨木には、雫で艶を増した赤い実が、たくさん実っています。庭先のクロガネモチにも、たくさんの実が付く頃となりましたが、この大宮寺の巨木のクロガネモチ・・・神々しさを感じずにはいられません。
水鳥の群を率いる一羽かな 長谷川田鶴
その大宮寺の池では、金黒羽白の群が、森の静けさとともに、音もなく、水面を滑るように行き来してます。雄鳥の黒と白の対照、そして冠の飾りは見事ですね。その目さえ金色です。
△キンクロハジロ 大宮寺の森
自然の造形の奇特を感じます。
大宮司の森を奥へと進むと、ムクロジの実が、まだ枝先に、たくさん残っていました。地面にも、実が散らばっています。このムクロジ、薬草とされていた時期もあるようですが、有毒です。里山の暮らしの中では、衣類の油落としによく使われ、また、その実の芯は、羽根付きの玉としても使われました。真黒な芯に穴を開けて、数珠にすることもあったようです。
静けさの中、水鳥が遊ぶ箕面の里山。
皆さまも、ぜひお出かけ下さい。
△ムクロジ 大宮寺の森
△センダン 大宮寺の森]]>
2009.12.5 歳時記 風のたより
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2009-12-09T00:43:00+09:00
2009-12-15T22:47:00+09:00
2009-12-11T13:51:02+09:00
sanrokubika
風のたより(渓川 清)
『タッキー816みのおエフエム』 (周波数81.6)
モーニング・タッキー「風のたより」で放送されます。
箕面の山パトロール隊 渓川 清の報告です。
△マンリョウ 粟生団地
大雪や暦に記す覚え書き 椎橋清翆
箕面の里山は、「大雪」を迎えました。
雨が固まって雪に変わると言われるこの時期。
今年は、深まった秋が、そこに留まっている感じさえします。
木の葉は、ぱらぱらと落ちていますが、山肌には、まだ見事な黄葉が拡がっていますね。
木枯らしが、黄葉をたちまちのうちに吹き飛ばしてしまうでもなく、木の葉は、ただ静かに、箕面の山道を舞いながら、降り積もっています。
△マンリョウ 粟生団地
先週の雨で、舞い降りたもみぢが絨毯となって、散り敷いています。色とりどりに、だからこそ、鮮やかな彩りとなって、山道を飾っています。一歩を踏み入れることを、ためらわせるほどです。そして、頭上には、まだ沢山のもみぢが枝先で揺れています。冷たく吹きすさぶ木枯らしは、いつやって来るのでしょう。
風が息抜くときのあり冬ぬくし 荒川ともゑ
石蕗の花や、山茶花以外はこれといって花の色を見る事がないこの季節・・・万両の赤い実が目につくようになりました。冬に同じく赤い実をつける千両に較べて、その実が勝ることから、そう呼ばれるとか。因みに、一両は蟻通、十両は藪柑子、百両は唐橘、そして、千両と万両。どれも、冬場に赤い実をつけます。藪柑子や万両は、お正月の盆栽にも使われます。
△マンリョウ 粟生団地
千両と万両の見分け方は、千両の実は上の方を向いていますが、万両の実は下向きに垂れ下がっています。万両の方が、千両よりも重たいからとか・・・。
この万両、里山では、薬草として、解毒や打ち身、咳止めなどに使われたようです。
万両は兎の眼もち赤きかな 千代女
もみぢ散り敷く箕面の里山。
みなさまも、ぜひお出かけ下さい。]]>
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